二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
「すごい星……」
乃亜は日本語でつぶやいていた。
ダグラスが不可解そうな顔を向けてきたので、乃亜は英語に戻して説明した。
「すごく素敵な星空だなって言ったんです。ここまですごいのは東京ではあまり見られないから、感動しちゃって」
「ここに住めば毎晩いくらでも見られるよ」
「そうでしょうね。いいなぁ、ネイトさんと結婚すればいいのかな」
乃亜の冗談に、ダグラスはぴたりと足を止めた。灰色の鋭い視線を向けられて、乃亜の足も動かなくなる。
まずい。
つい昨日まで牧場乗っ取り疑惑をかけられていた乃亜が、口にするべきことではなかったのかもしれない。ネイトの両親の牧場を足掛かりに、ここも乗っ取るつもりかと言われたらどうしよう? 夕食時に聞いた話によれば、ネイトは三男坊なので、多分無理だとは思うが……。
「そんなことをする必要はない」
ダグラスは不動のまま静かにそう告げた。
「そ……その通りです……スミマセ……」
「君はウィリアムのひ孫なんだ。来たければいつでも来ていいし、泊まりたければ……あのキャビンは君用にして空けておくから」
「へ……?」
裏返った変な声が出てしまう。今、なんと……?
「おそらく親父はそう言うだろう。ここはまだ彼の名義になっているから、俺は逆らわないよ」
「ほ、本当ですか?」
「こんなことで嘘は言わない」
「それはそうでしょうけど……」
乃亜は体温が上がるのを感じた。ワインのせいだろうか。ダグラスの真剣な瞳のせいだろうか。あまりにも美しい荒野の夜のせいだろうか。
わからない……けれど、嬉しい、と思っている自分がいる。