二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

「今さら聞くのもなんだが……」
 男はエンジン周りから顔を上げると、サングラス越しに乃亜を見つめた。
「この車を借りたときに、冷却水はチェックしたのか?」
 乃亜は目をしばたたいた。
「冷却水ってなんですか?」
「ジーザス」
「え?」
「なんでもない。エンジンが熱くなるのを防ぐための液体だ。普通はここに入っている」

 と言って、エンジンの横にあるプラスチックのタンクを指差した。
 時々両親の車を使わせてもらうだけで自分の車を持っていない乃亜には、未知の物体だった。おそらく教習所では習ったのだろうけれど、それも六年以上前の話。
 まったく記憶になかった。

「いいえ……。もしかして、それが漏れてしまったんですか?」
「いや、漏れは確認できない。そもそも十分に入っていなかったか、長い間交換されずに蒸発したか劣化したんだろう」
「そんなぁ……」
 がっくりと肩を落とす乃亜に、サングラスの長身男は追い打ちをかけた。

「つまり君は、他の客には出せずに残っていたポンコツ車を掴まされたわけだ。せめて借りる前にディーラーと点検しておけばよかったものを、不注意だったな」

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