二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
それはなんの変哲もない横長の白い封筒で、几帳面に糊で封がしてある以外、目立ったところはない。
当然、彼は不可解そうに眉間に皺を寄せた。
「なんの書類だ?」
「書類じゃありません。個人的な手紙です、手書きの」
「親父宛の?」
「そういうことになりますね……はい」
会話のやり取りをしながら、乃亜はもしかしたらこれは人違いではないかと思いはじめていた。
目の前の男性はおそらく三十代のはじめか、せいぜい半ば……。乃亜よりは明らかに年上であるが、もうすぐ百歳を迎える父親を持つような年齢には見えない。
ウィリアムもマクブライトも珍しい名前ではないはずだし……。
「あなたは本当にウィリアムさんの息子なんですか?」
男の眉間の皺がさらに深まり、疑いの余地のない不快感を表した。
「す、すみません。聞き方が悪かったですね。つまり……わたしの探しているウィリアムさんは来年には百歳になるはずなんです。あなたが彼の息子のような歳には見えなくて。息子じゃなくて、孫とか……ひ孫とか? もしくは人違いで、まったく違うウィリアムさんのことだったりとか……」
「この辺りにウィリアム・マクブライトはひとりしかいない」
低くてざらついた声が断言した。
怒っているようにも聞こえたし……どこか傷ついているようにも響く。
「そして俺は正真正銘、彼の息子だ。得体の知れない日本からの小娘にわざわざ教える義理もないが」
確かに。正論だ。
事前連絡もせずにいきなりアメリカまできたのは乃亜で、この……ウィリアムの息子がいきなり諸手を挙げて歓迎する義務はない。
乃亜はうなだれた。
「そうですね……。失礼なことを言ってごめんなさい。でも、この手紙を届けなくちゃいけないのは本当なんです。もしウィリアムさんが目を覚まして面会できるようになったら、わたしに知らせてくれますか? どこか近くにホテルを見つけて滞在しますから」