二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
親父、という単語と、ウィリアムの名前が乃亜の中で繋がるのに数秒を要した。乃亜は曽祖母からウィリアムについての話を聞いてから、きっと彼は独身を貫いていると思い込んでいたからだ。
少なくとも……そう思いたかった。
曽祖母の意見は違うものだったけれど。
でも乃亜の目の前には彼の息子がいて、灰色の瞳で乃亜のことを見据えている。乃亜は夢を見すぎていたのだ。
「わたし自身は……彼と面識はありません。わたしじゃなくて、わたしの曽祖母が、ずっと昔、彼と知り合いだったんです。それで彼に手紙を渡して欲しいと頼まれました。曽祖母自身はもう高齢で、飛行機に乗るのは難しくて……」
「面識がないなら、どうして君がわざわざ親父に顔を見せる必要がある? 手紙だけなら俺が渡しておくと言っただろう。そもそも郵送だってできる。USPSはあまり当てにはならないが」
USPSがアメリカの郵便公社を意味することくらいはわかった。
それを揶揄するダグラスに、ユーモアの一片を感じて微笑みたくなったけれど、自分が尋問されている最中なのは変わらない。
「それはわたしも曽祖母に言いました……。でも、どうしても会って手渡して欲しいと食い下がられてしまって……」
この先を伝えるべきかどうか、乃亜はしばらく躊躇した。
でも、乃亜は悪いことをしているわけではない。隠し事をしても得るものはあまりない。
そう決心して、ダグラスが乃亜を見つめるのと同じくらいまっすぐに、彼を見つめ返した。
「多分、曽祖母の若い頃とわたしが、そっくりだからだと思います。ウィリアムさんにそれを見て欲しいんじゃないかと……」