二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
この家の他の部分と同じく、落ち着いた白と灰色と木材を組み合わせた立派なシステムキッチンだ。東京育ちの乃亜には羨ましいくらいの広さで、綺麗に整頓もされている。
カプセル式の小さなコーヒーメーカーで、ダグラスはすぐに香りのいい一杯を淹れてくれた。マグカップを手渡されるとき、一瞬だけ指が触れる。
「……今から従業員に連絡してキャビンを一部屋掃除させておく。夕方には入れるようになるはずだ」
「はい」
それまではこの家に……いていい、ということだろうか。
「本当に……そこまでしていただかなくていいのに、感謝します。約束通りウィリアムさんに手紙を渡せたら、すぐ帰りますから」
ダグラスは彼自身にも一杯コーヒーを淹れて、キッチンカウンターに腰を当ててリラックスした体勢を取ると、あおるようにそれを呑み干した。
熱いのに。
このひとの舌はどうなっているんだろう。
舌だけじゃない。こうしてあらためて見ると、ダグラスは全身から乃亜が知らない種類の力強さを放つ男性だった。
肉体的なたくましさだけじゃない──それに関してはもういくら語っても語り尽くせそうにない──なにか違法な媚薬が彼の肌から分泌されているのではないかと疑うくらいの色香で、圧倒されてしまう。
しばらくは沈黙が続いた。
ダグラスはじっと乃亜を見つめている。彼はそれを隠そうとさえしなかった。
乃亜も……それが嫌だとは思えなかった。
ただ、出会ったばかりの美形カウボーイといつまでも無言で見つめ合える胆力は乃亜になかったので、さりげなく視線を外すと、話題を求めて広いリビングを見渡した。
壁にいくつか写真が飾られていて、乃亜はそこに吸い寄せられるように向かった。