二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

 もうだめだ! これは悠長に助けを待っているべきではない!
 乃亜は決して無鉄砲なタイプではなかったけれど、壁ひとつ隔てた向こうに悲痛な悲鳴をあげている女性がいるのに、己の安全のために放っておけることができる性格ではない。

 結論からいって、乃亜はスマホを諦め、キッチンに向かうとガス台に乗っていたフライパンをひとつ手に取った。本当は鍋がよかったけれど、贅沢を言っている場合ではない。
 ドクンドクンと逸る鼓動を持て余しながら、乃亜はフライパンを防御代わりにして玄関を出た。

『キャアアア!』
「ひええっ!」

 頭上からまっすぐ降ってくるような悲鳴に、乃亜はおののいた。──ず、頭上?
 乃亜はキャビンの入り口にあるウッドデッキから上を仰ぎ見た。
 こうして外に出て聞いてみると、悲鳴の主はキャビンの屋根……もしくはさらにその上方にいるようだった。
「どういうことなの……?」
 フライパンを構えて頭を防御しながら、おずおずとウッドデッキから下りて屋根を確認する。ひとがいる気配はなく、ましてや殺人現場のような形跡は見当たらない。

 乃亜がキャビンを周回するように歩きはじめると、悲鳴はぴたりとやんだ。
 ……それはそれで怖い。

「だ……だれかいるの? きゃっ!」
 頭上を見上げながら後じさりするように歩いていたせいで、足元にあった切り株に気づかなかった。乃亜は派手に仰向けに転び、手にしていたフライパンは宙を飛んでおでこに落ちてきた。ゴン!
 なんてこと!
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