二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

「だ、誰かが殺されているかも……しれないんです」
「…………」
「すごく悲痛な悲鳴が聞こえてきたんです……。きっと斧で肢体をバラバラにされてるところだと思います。そのくらい辛そうな悲鳴でした」

 ダグラスは大きなため息をついて夜空を仰いだ。
 あ、信じていない。
 そのときまた例の悲鳴が闇の中に響き渡った。キェェェェェーーェェ!

「ノア」
 ダグラスは両手を腰に当てた。仁王立ちのようなその姿勢は、大きな彼をさらに大きく見せた。
「あれはフクロウの鳴き声だ。発情期になるとああいう鳴き方をする。そんなに珍しいことじゃない」

 乃亜は目を見開いて大きく口を開けた。
 そ、ん、な。

 安堵よりも自分の無知さへの絶望がまさって、乃亜はよろよろと力なく立ち上がろうとした。頭を打ったせいかぐらりと均衡が崩れて、また倒れそうになる。
 そこをダグラスの手が救った。
 二の腕をしっかりと握られ、自分の足で立ち上がる手助けをされる。それは──もしこんな状況でなければ──ときめいてしまいそうなくらい、力強くて頼りになる腕だった。

「しばらくこの牧場にいるつもりなら、君は……覚悟をしたほうがいい」

 それが、その夜ダグラス・ジョンソン・マクブライトが広瀬乃亜に与えた、忠告のようなものだった。

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