二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

 いや、もちろん昨日の時点で面影というか……原型はあった。でも実際に馬に乗って手綱を握って、カウボーイハットと乗馬用ブーツを履いているとなると、もう完璧なる完成型である。
 それも映画でしか拝めないような美形カウボーイだ。
 もし眺めているだけでいいだけなら、乃亜は喜びによだれを垂らしていただろう。もしかしたら自覚がないだけで、実際垂れているかもしれない。

 でも……。でも。

「聞こえなかったのか? なにをしているんだ」

 こんなふうにすごまれていなければ! 喜べたはず!
 しかし現実は無情で、サングラスに隠れて目つきまでは見えないけれど、彼の眉間の皺は視力1.0の乃亜にもはっきり見えるほど深く刻まれている。

「あの……おはようございます」乃亜はささやいた。
「おはよう」
 ダグラスの棒読みはアメリカン・エアライン機内の冷房よりも冷たかった。
< 57 / 287 >

この作品をシェア

pagetop