二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

 とはいえ、ダグラスは馬に跨ったままでその場から動かない。
『来てみるといい』──どうやって?

 乃亜のレンタカーが煙を吹いて動かなくなったのはダグラスもよくわかっているはずだ。ダグラスは馬上で、ほかに乗り物らしいものはピックアップトラック以外なにもなく。
 つまり……歩け、と?

「わかりました」
 乃亜は毅然と告げ、それこそチュチュを身に着けて舞台に立っているときのようにピンと姿勢を正し、不愛想な、でもそんなことはどうでもよくなるくらいハンサムなカウボーイに向かって歩を進める。
「さあ、行きましょう」
 ──泣かないのよ、乃亜。なんでもできると啖呵を切ってしまったのは自分でしょう。

 ダグラスは近づいてくる乃亜を疑わしそうに眺めている。
 ちょっと姿勢を崩して、馬上でサドルに片ひじをついているダグラスは、もうどこからどう見てもジーンズかサングラスの宣伝広告モデル並みの優雅さだ。
 乃亜がダグラスの横を通り過ぎるとき、馬がヒン、と鼻を鳴らした。「あんた大丈夫?」と言われている気がした。多分間違ってはいない。

 己のくだらないプライドを守るため、カウボーイと馬を置き去りにしてズンズン歩いて牧場に向かっていく乃亜の背後に声がかかる。
「ひとりで歩いていくつもりなのか?」
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