二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
しかし、当のダグラス・ジョンソン・マクブライトは、乃亜のことなどその辺に飛んでいる邪魔なハエくらいに思っているようだった。可能ならぺしゃんこに潰して目の前から消してやりたいと思っているはずだ。
──いっそ、ハエならハエらしく!
と、できるだけ縮こまってみるものの、ダグラスはその厚い胸板と硬い腹筋を乃亜の背中に押しつけてきた。
「まっすぐ座ってくれ。落馬されたら困る」
「は、はい」
たとえ自ら地面にダイブしようとしても、不可能な気がする。
遠くから見るだけでも大きくてたくましかったダグラスの身体は、こうして背後から包まれるともう同じ人類として申し訳なくなってくるくらいの体格差だった。乃亜は日本人としては小柄ではない。でもバレエのせいもあって華奢だ。
対してダグラスはおそらくアメリカ人としてもかなり長身の部類に入る。
190センチくらいだろうか……。
体重はちょっと想像するのが怖かった。贅肉の類は一切感じられないけれど、筋肉は脂肪より重いのは常識である。こんな……。
こんな……。嗚呼!
煩悩の塊となった乃亜と牧場主を乗せたチャンピオンは、威風堂々とした足取りで広大な牧草地に向かって歩を進めた。