二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
厩舎にて
数分後──。
最初こそぎこちなくはじまった乗馬は、次第に乃亜の緊張を解いていった。
頬を撫でる風。
視界を流れていく雄大な景色。
チャンピオンが大地を蹴るたびに跳ねる身体の揺れさえも、慣れてくると楽しくなっていった。
乃亜は歓喜を抑えきれずに「わあっ」と声を漏らしながら、荒野を吹き抜ける風と一体になる感覚に身を任せた。
曾祖母にコロラドの牧場行きを頼まれたとき、乃亜はこんな喜びを期待してはいなかった。きっと退屈なばかりで、虫が沢山いて、用事だけすませたら一目散に都市部に戻ろうと……。
「すごい、すごい……っ、ダグ──ミスター・マクブライト、すごいです! 最高!」
とはいえ、乃亜の興奮にダグラスはこれといった反応を示さなかった……のだと思う。「手を離すな」とか「前を向いて」といった指示やお叱りを背後からささやかれた以外、ダグラスは乃亜の背後で鉄壁の守りに徹した。
どこがはじまりで、どこが終わりかわからないくらい広大な敷地を駆け抜けると、視界の先にいわゆる厩舎が入ってきた。
中央だけ屋根が高くて、左右に広がっている木造建築だ。周囲はぐるっと丸太の柵で囲まれている。
柵に近づくと、ダグラスは乃亜を馬上に残してすとんと地上に降りた。その動きを見るのは二度目だけれど、やはり見惚れてしまう。自分が彼のように優雅に降りられる自信は……ない。
まったく。