二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

 乃亜はパチパチと目をまたたいた。
 真剣なダグラスの灰色の瞳に引き込まれそうになる。おそらく見惚れたりしている場合ではないのに、こんな至近距離で、こんな美形に、これほど真摯に見つめられて、平常心でいられるはずがない。

「大丈夫ですから……」
 なんとなく身を守るものが欲しい気持ちになって、取られたカウボーイハットに手を伸ばそうとする。
 ダグラスはそれを阻止するように、一度は乃亜に被せていた帽子を彼の頭にぽすんと戻した。
 あ、やっぱり素敵。カッコいい。すごく似合っている。

「大丈夫なはずがない。呆けていないで答えてくれ、いったい誰がいつどういう理由で君を殴ったんだ。しかもフライパンで」

 なんだか乃亜が糾弾されていると錯覚してしまうくらい真剣な、怒気をはらんだ口調だった。しかもダグラスは乃亜の二の腕をギュッと掴んできた。

「昨晩……というか、夜中に……」
「昨夜? あの時外にいたのはフクロウの鳴き声のせいだったんじゃなかったのか? 他になにかあったのか?」

 乃亜は驚いて息を詰めた。ダグラスがどこか、こう……一種のパニックを起こしているように見えたからだ。まるで乃亜の怪我の責任がダグラスにあるみたいに。
 まるで……彼自身が傷ついたみたいに。
 それはなぜか嫌な気分ではなかった。焦りはしたけれど、なぜかお腹の奥がきゅんと疼くような不思議な熱に包まれる。

「自分でやったんです……。だから心配いりません」
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