二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

 乃亜の身体は硬直した。
 ついさっきまで真っ赤だった顔は、きっと蒼白を通り越して紫か土色になっているだろう。あまりよくない意味で心臓がドクドクと高鳴った。

なんですって(エクスキューズ・ミー)?」
 乃亜はすごんだつもりだったが、ダグラスはひるまなかった。
「言った通りの意味だ。うぶなフリをしていないでさっさと仕事をしてくれ。そのためにここに来たんだろう」

 それだけ言い捨てるとダグラスはくるりと踵を返して、厩舎の奥に向かってしまった。
 鍬を持つ乃亜の手が震えはじめる。
 恐怖ではない……怒りで。
 やるせなさで。

 ひとつ深く息を吸うと、乃亜は鍬を手放して地面に落とした。
 そして自分で集めた干し草の山にガッと勢いよく手を突っ込んだ。持てるだけの干し草を握りしめると、全速力でダグラスのあとを追った。

「なにを────うぉっ!」

 ダグラスは変な声を上げた。それだけで少し胸がすく。この冷静なカウボーイを少しだけでも困惑させることができた。

 乃亜は手にした干し草をダグラスの背中に向けて投げつけた。
 さらに地面に落ちた干し草をもう一度掴みなおして、ダグラスのシャツの後ろを掴むと、襟首から乾いた干し草の塊をねじり込んだ──少なくとも、ねじり込もうとした。
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