二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
ダグラスはいわゆるベーコンエッグをさっと作って、トーストもフライパンで一緒に焼いてしまうと、新鮮な野菜をスティック状に切って皿に乗せた。ワイルドではあるけど、きちんとした料理だ。
ふたりはダイニングテーブルで向かい合って座ると遅い朝食を静かに食べた。
普通に美味しい。
いや、すごく美味しい。
肉体労働のあと。他人が作ってくれた食事の温かさの喜びを嚙みしめていると、ダグラスは彼自身もフォークを口に運びながら言った。
「旨いと思ってもらえているようで、よかったよ」
「え? あ、無言でむしゃむしゃごめんなさい。すごく美味しいです。つい夢中で食べちゃって」
「別に嫌味で言ったわけじゃないよ。そうやって旨そうに誰かに食べてもらえるのは久しぶりだ。さすが親父の──」
と、続けかけて、ダグラスは止まった。
さすが親父の……ウィリアムの。
血筋。
ダグラスはそれを口にしたくなかったのだろう。乃亜はそれを察したし、理解と共感さえした。
「……ウィリアムさんも、あなたの料理を美味しそうに食べてくれたんですね」
「親父はなんでも旨そうに食べるひとだったよ」
「でもきっと、あなたが作ってくれたものは特別だったと思います。実際、とても美味しいし」
「そうかな……」
こうしてダグラスの口からウィリアムの話を……たとえその片鱗だけでも聞けるのは、不思議な気分だった。
そしておそらく、ダグラスも同じことを思っている。乃亜にウィリアムの話をする、その運命の悪戯を。皮肉を。不思議だと。
「とにかく──」と前置きして、ダグラスは咳払いをした。「今朝、病院に連絡したところ、容態は安定しているがまだ面会できる状態ではないとのことだった」
「そうですか……」
もしかしたら落胆が大袈裟すぎたのかもしれない。
ダグラスは黙ってみっつの目玉焼きと十枚近い肉厚ベーコンを平らげると、お馴染みの厳しい表情に戻った。