二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
「本気で親父の意識がきちんと戻るまで待つつもりなら、長丁場になるかもしれない」
「す……すみません」
「帰国の航空券チケットはいつなんだ?」
「一週間後です。でもフィックスオープン・チケットなので、航空会社に連絡すれば三十日間まで伸ばせます」
「そうしておいた方がいいかもしれない」
「最大まで期限を伸ばした方がいいという意味ですか?」
「君の予定が許すならね」
「それは……大丈夫ですけど……滞在費がちょっと。ひと月ホテルは無理ですから。ここにずっといても大丈夫ですか?」
「ああ」
ダグラスはあっさり認めた。
乃亜はまだお皿に残っているベーコンの最後の一枚をフォークでつつきながら、ダグラスにちらりと目を向けた。
「それは……厩舎の掃除の出来栄えを気に入ってもらえたのでしょうか」
「あれは完璧だったよ。ありがとう」
なるほど……。
カウボーイの心を懐柔するのに必要なのは、同情を引くことでも色気を出すことでもなくて、完璧なる厩舎の掃除だったのだ。
乃亜は少し賢くなった。
「わかりました……。この牧場にステイさせていただける限り、厩舎の掃除と、ほかにできることがあればなんでもお手伝いします。そしてウィリアムさんの容態が安定したら、面会させていただいて、手紙を渡して……。できるだけすぐに去ります」
ダグラスは唇を一文字に引き結んだままうなずいた。
ひとまず宿は確保したし、ダグラスはウィリアムとの面会に協力的でいてくれる。とりあえず昨日のような絶望的な状況からは脱したようだった。