二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
そして約一時間後。
正直、そこに「街」と呼べるような規模はなかったけれど、いくつもの可愛らしい個人商店が軒を連ねているメインストリ―トは賑やかだった。
ダグラスは道脇にピックアップトラックを停めると、またもシートベルトに戸惑っている乃亜の助手席の扉を開けてくれた。
「すみません……。ありがとうございます」
彼の手を借りて、車高の高い座席からすとんと地面に下りる。
厩舎の掃除でレギンズとシャツは汚れていたので、乃亜は持ってきたワンピースに着替えていた。温泉があるため観光客が多く、地元っ子ではない乃亜もそれほど目立たない。
ダグラスはいつものカウボーイ装備だった。
これもまた、特に目立つ恰好ではない。
結構……普通にいるものなんだ、カウボーイ。
「どこにお店があるのか教えてもらえれば、ついてこなくても大丈夫ですよ。あなたには退屈でしょう?」
と、言ってはみたが、ダグラスは無言で首を横に振って乃亜についてきた。
大きなショッピングモールがあるわけではないので、あの店でジーンズ、この靴屋で革のブーツ、そっちの薬局で日用品……と歩道を散策しながら、あちこちの商店に入る。
どの店のオーナーや店員もダグラスのことを知っていた。
「ダグラス!」
皆、一様に彼をそう呼んだ。
ダグラスという名前は、ダグ、と短く愛称呼びするのが一般的なイメージだったのに、このダグラス・マクブライトをそう呼ぶ者はほとんどいない。
友情のハグこそあまりなかったが、大抵の成人男性はダグラスの顔を見ると握手の手を挨拶に差し出してくる。
親しみというよりは、尊敬に近いなにかが底辺にあるような気がした。
ダグラス本人はそれを冷静に受け取っていて、あまり口数は多くなかったが世間話などもしていて、顔は広いようだった。
そんなダグラスが常に隣にいたから、乃亜も時々話しかけられた。