二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
「そちらのお嬢さんは? 日本人かい? 温泉のお客さんかな?」
乃亜はにっこり笑って、どの相手にもだいたい同じ説明をした。
「ウィリアムさんの古い知り合いの……娘なんです。観光ついでに牧場に滞在させてもらっています」
やれひ孫だ、手紙だ、となると話が長く面倒になるので、そんな簡略化されたバージョンの自己紹介を繰り返した。
ダグラスもその判断を歓迎しているようで、黙ってうなずいていた。
あまり他人に深掘りされたくないのは、お互い様だし。
長く滞在することになるなら、ある程度噂話のネタにされるのはおそらく避けられない──ここは良くも悪くも、そういう種類の田舎町だ。
でも、みずから餌を投下する必要はない……といったところだろう。
そんなふうに二時間が経過した頃には、目当ての買い物はすんでいた。
「そろそろ、牧場に戻りますか?」
できるならもっと町を散策してみたかったし、地元民が口をそろえて絶賛する温泉や川縁も見てみたい。
でも、ダグラスにはつまらないだろうし、おそらく戻れば仕事も山積みのはずだ。
ダグラスは腕時計に視線を落とした。
そう、このひとはスマホではなく腕時計で時間を確認する。