きっと、夏のこと
第四話 はじめての連絡
季節が過ぎて、教室は景色を変えた。
話題のドラマの話とか、俳優の話とか。
楽しかった話題は姿を消した。
スタバの新作の話題が隅っこに窮屈そうに座っている。
模試の話とか、検定の話とか、そんな話題が忙しく駆け巡る。
「進路決めてるの?」
彼女もすっかりそんな気持ちのようだ。
「まったく決めてないかな」
「そっか」
「もう進路決まってるの?」
「ロールモデルがいますから!もちろん」
彼女は、軽音サークルの女の先輩にすっかり虜になったようだ。
顔を紅潮させて先輩の話をする彼女を横目に、
気のせいみたいに私の鼻にあの甘い香りがかすった。