きっと、夏のこと

いつもの2人の放課後。


友達がぽつりと言った。


「コレサワ、いいよね」


私は小さく笑って、頷く。





イヤホンをつけると聞こえてくる、ふにゃりと鼻にかかった声。


風に乗ってすぐに消えちゃいそうな弱さ。力の抜けたささやき。


でもそのかぼそさの奥に、ちっぽけな強い気持ち見えそうだった。





「夏に、軽音サークルのイベント、行ってみない?」


「なにそれ」


「近くの大学で、毎年夏に軽音のワークショップやってるみたいよ」


「いく」




私の言葉に、彼女はふわっと笑った。


満足げに


「だよね」


って。




終業式のざわめきが教室を包む中、


胸の奥に、少しだけそわそわした気持ちが残った。


何でもない日常の延長に、


ほんの小さな特別が入り込んだみたいに感じた。
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