きっと、夏のこと

ヤスと組むことになってから、練習は増えた。


彼はよく喋るし、感情がそのまま音に出るタイプだった。


ミスをすれば露骨に悔しがるし、上手くいけばすぐ顔に出る。


「今のよかったよ」

「いや、まだ全然」

「十分だと思うけど」


私は返事をしながら、ギターのネックだけを見ていた。






ヤスの音は、分かりやすい。


どう弾きたいのか、どこが好きなのか、どこで迷っているのか。


全部、音に出ている。






だからこそ、私はヤスの音楽が嫌いだ。
< 68 / 89 >

この作品をシェア

pagetop