きっと、夏のこと
ヤスと組むことになってから、練習は増えた。
彼はよく喋るし、感情がそのまま音に出るタイプだった。
ミスをすれば露骨に悔しがるし、上手くいけばすぐ顔に出る。
「今のよかったよ」
「いや、まだ全然」
「十分だと思うけど」
私は返事をしながら、ギターのネックだけを見ていた。
ヤスの音は、分かりやすい。
どう弾きたいのか、どこが好きなのか、どこで迷っているのか。
全部、音に出ている。
だからこそ、私はヤスの音楽が嫌いだ。