凪渡くん、このままじゃ溶けてしまいます【完全版】

二度と忘れられないようにしてあげる

どれくらい時間が経っただろう。

この廊下でこのままいるわけにはいかないし、凪渡くんの部屋に行かなければ凪渡くんが心配する。

働かないままの頭で、私はペシンッと自分の両頬を叩き、無理やり笑顔を作る。



(ちゃんと笑え。凪渡くんに心配をかけたくないでしょ)



そう心に言い聞かせ、凪渡くんの部屋をノックする。

すぐに扉は開いた。

「莉帆ちゃん、遅かったね。何かあった?」

「ちょっとお手洗いに寄ってて……」

本当は凪渡くんと部屋で少しこれからのことを話す予定だったが、今ここに長居(ながい)すれば、下手な笑顔はバレてしまうだろう。

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