凪渡くん、このままじゃ溶けてしまいます【完全版】
そして、仁くんが掴んでいた私の手をパッと離して、何故かいつも通りの他愛のない会話を始める。

「ねぇ、白木。今日お皿何枚洗った?」

「え、急に何?」

「いいから答えて」

「えっと、三十枚くらい」

「じゃあ、今日何回テーブルにコーヒー運んだ?」

「十五回くらい……?」

一体、これはなんの質問なんだろう。

でも、仁くんは楽しそうに笑っている。




「じゃあ、今日のバイト大変だった?」




「そりゃあ、バイトなんだから大変だったけど……」





「じゃあ、最近楽しい?」





「それ、さっきも言ってたよね」





「いいから、大事なことなんだよ」





「楽しいよ」





「じゃあ、いいわ」





それだけ言って、仁くんが凪渡くんの耳元で何かを話した。
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