凪渡くん、このままじゃ溶けてしまいます【完全版】
「君にそれほどの価値があると? 凪渡が君を選ぶ理由が私には一切分からない」





前を向け、私。




「それでも、凪渡くんは私を選びました。なら、私は凪渡くんと一緒に幸せになるだけです」




「子供じみてるな。気持ちだけでどうにかなるなら、この世は全てが上手くいっているはずだ」




手に力を込める。

勇気を出すなら、今しかない。








「そうですね、私もずっとそう思っていました。……いえ、今も思っています。気持ちだけじゃどうにもらないし、何も解決しないと」


「……でも人は気持ちがなければ、行動しようとも思わない」


「もし凪渡くんが私に会わなければ、長谷家の御曹司として生きていた。でも『もし』出会わなければ、『もし』凪渡くんに恋しなければ、それは全て私にとって価値がない考えです」


「だって私はもう凪渡くんに出会っているし、恋している。なれば、あとは進むだけです」








凪渡くんのお父さんは、その時やっと私と目を合わせてくれた。







「絶対に凪渡くんを幸せにします」






「はっ、まるでプロポーズだな」







そう私の返答を笑うように……でも、その後すぐに真剣な顔に戻る。


「当たり前の幸せには興味がない、と? 君が母方の実家に戻り、凪渡と付き合う選択肢もあるはずだ。そうすれば、もっと裕福な暮らしが出来る」


「戻っても、戻らなくても、私たちの幸せを作れるのは私たちだけなので」


私の返答を聞いて、凪渡くんのお父さんの視線は凪渡くんに向いた。
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