凪渡くん、このままじゃ溶けてしまいます【完全版】
「そんなことより、莉帆ちゃん。唐揚げ、もう一個あげる。はい、あーん」

「っ……!」

「ほら、口開けて?」

凪渡くんが唐揚げを私の口元まで持ってきて、いたずらっ子のような笑みを浮かべている。

パクッと食べてしまいたいけれど、ここで食べたらまた話を変えられる。

「凪渡くんっ……!」

何とか声を振り絞って、名前を呼んだ私の声に重ねるように凪渡くんは言葉を発した。






「ねぇ、莉帆ちゃん。ズルくて何が悪いの? 俺を利用して何が悪いの?」





「そんなの……!」





「『普通』とか『常識』とか良いよ。俺が良いって言っているんだから、良いの」





「そんなの王様じゃない!」





「どこが? 俺が俺の気持ちを利用して良いって言ってるんだ。他のやつに何も迷惑をかけていない。そうでしょ?」





そう話す凪渡くんの口調は冷たくて、どこか全てを諦めているような声色だった。

夜の公園は日中の明るさはなくて、寂しさだけが積もっていく。

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