凪渡くん、このままじゃ溶けてしまいます【完全版】
凪渡くんは唐揚げを私の口に入れるのを諦めて、私のお弁当箱にヒョイっと入れた。




「あげる。これからも、莉帆ちゃんが欲しいもの、なんだってあげる」




まるで甘くてドロドロのハチミツを上から垂らされているみたい。

甘えるだけで良いと言われて、愛情だけを注がれる。

でも、それだけじゃダメなことは分かってた。





「じゃあ、私もお弁当のお礼に凪渡くんの願いを叶える」




「は?」




「一週間に一回、金曜日。私が叶えられる範囲だけど……」




「莉帆ちゃん、それ意味分かってる? 俺が莉帆ちゃんが嫌がる要望をしたらどうするの?」

「断るよ。私が出来る範囲だから。でも、貰うだけじゃなくて私にも凪渡くんに何かさせて。何か凪渡くんの喜ぶことを少しだけで良いからさせて。貰うだけ、与えられるだけの、傲慢(ごうまん)な女の子になんてなりたくない」

「……そうだね、莉帆ちゃんらしい」

凪渡くんは何故か顔を下げて、私に表情を見せないようにしている。

でも、つい私は凪渡くんの顔が見たくなって、そっと覗き込んだ。

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