凪渡くん、このままじゃ溶けてしまいます【完全版】
神坂さんの後ろ姿を見ながら、「凪渡くん、愛されているなぁ」と嬉しくなってしまう。

だって、きっと今までの言い方を考えると、凪渡くんは家を出たいがそれを家の人は許していない。

今の所、凪渡くんの家の中での味方は、お弁当を作ってくれている家政婦さんしか知らない。


そんなことを考えている時、バイト中の凪渡くんがこちらに視線を向けた。


「莉帆ちゃん、先に帰っていて良いから! 少しでも遅くならないうちに帰って!」


「……うん、じゃあそうするね」


ここで、先に帰ると言わないと凪渡くんはバイトに集中出来ないだろう。


だから、私は食堂を出て、店の前で凪渡くんを待つことにした。


先に帰っても良いと分かっている。

別に凪渡くんと私は付き合っているわけでもないのだから。

でも、なんか凪渡くんを置いて帰る気持ちにもならなかった。

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