凪渡くん、このままじゃ溶けてしまいます【完全版】
「この長谷邸でメイド長をしている川瀬(かわせ)と言います。今、丁度メイドが一人辞めて人手不足で困っていて……つい強引に声をかけてしまったの。ごめんなさいね」

「いえ……」

「高校生?」

「はい。近くの木瀬高校の一年で……白木 莉帆と言います」

「あら、じゃあ坊ちゃんと同じ高校なのね。あ、坊ちゃんっていうのはこの家のご長男で、今年で高校二年生なの」

凪渡くんのことだ。

そう分かるのに、知っているとは言える状況じゃなくて。

「ふふっ、凪渡坊ちゃんと同じ高校の子が来るなんて嬉しいわ」

川瀬さんは本当に嬉しそうに笑ってくれる。

そして、そのまま業務内容や働いて欲しい時間、時給などについて詳しく教えてくれる。

「あの、私、実は別のバイトもしていて……」

「そうなの。もし働いてくれるなら、そちらのバイトがない日だけということも可能よ」

「本当ですか……!?」

「ええ、実は人員不足で結構困っていて。少しでも来てくれるだけでも嬉しいわ」

その時、川瀬さんの視線がキッチンのテーブルに移る。

テーブルにはおかずの乗ったお皿のようなものが見えた。
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