凪渡くん、このままじゃ溶けてしまいます【完全版】
嬉しそうにそういう川瀬さんとは裏腹に、私の心臓はドクドクと緊張していた。


だって、絶対凪渡くん怒るし……。


それに突然私が部屋にいたら、絶対びっくりして、それで……うん、やっぱり怒るに決まってるよ〜!

そう思いながらも、頼まれた仕事を無視するわけにはいかないので、私は休憩が終わるとそっと凪渡くんの部屋を開けた。

大きくて、綺麗で、整っていて、生活感のない部屋だった。

それでもよく見ると、ベッドの布団は曲がっているし、ティッシュ箱などは机の上に無造作に置かれている。


(本当にここで凪渡くんは生活しているんだ……って、凪渡くんが来る前に掃除を終わらせないと!)


パタパタと掃除用具を取ってきて、言われた通りに片付けを済ます。

基本的に物は動かさなくて良いから、掃除機をかけて棚のほこりをはたいて欲しいと言われていた。

「早くしないと、凪渡くんが帰ってきちゃう」

早く終わらせたところで凪渡くんにはいつか言わないといけないのだが、まだ心の準備が出来ていない私は慌てて掃除を終わらせる選択肢しかなかった。

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