凪渡くん、このままじゃ溶けてしまいます【完全版】
もうすぐ終わる……というところで、ガタッと扉が開く。

私は観念(かんねん)して、凪渡くんに謝ろうと思ったのに、凪渡くんは帰ってきてそのままポンッとソファにカバンを置いた。




「お疲れ様。もう帰ってきたから、一旦掃除はここまで大丈夫だから」




(え! もしかして、凪渡くん私に気づいてない!?)





確かにまだ振り向く前だったけど、余計に振り向きにくい状況に私は固まるしかなかった。

そんな動かない私に不思議そうな凪渡くんの視線が向けられているのが、背中越しに感じる。




「もう掃除は大丈夫……って、何かあった?」




動かない私を心配して、凪渡くんが近寄ってくるのが足音で分かる。

早く振り向かないと、と思うのに慌てれば慌てるほど体は動いてくれない。
< 77 / 134 >

この作品をシェア

pagetop