凪渡くん、このままじゃ溶けてしまいます【完全版】
その次の瞬間には、凪渡くんが振り返って、私の口が凪渡くんの胸にぶつかる。




「わー、莉帆ちゃん。大胆だねー」



「これはどうしようもないでしょ!?」



「違うよ、『どうしようもない』っていうのはこういうのを言うんだよ」



凪渡くんがそう言って、もう一度私のおでこに口付ける。

次は右頬。

その次は左頬。

最後は……





「……なんて、莉帆ちゃんが涙目になってるからここでやめとくね」





「っ!!! ばか凪渡くん!!!」





「ね、嫌になったでしょ? この家のメイドなんかやめなよ」





「え?」





「莉帆ちゃんにメイドは向いてないと思うよ。寝る時間も減っちゃうし。前のバイトを辞めたわけじゃないんでしょ?」





ああ、そうだった。

凪渡くんはこういう人だった。

本心を当たり前に誤魔化して、それが生活の一部のなっているんだ。

からかって、私を辞めさせようとして、それでいて本気で私を傷つけられない人。

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