バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
 それでも――。
 歩みを止めるわけには、いかなかった。

 ――私がどんな選択をすれば幸せになれるか、なんて。
 試行錯誤を繰り返さなければ、わからない。

 ダグラスの前で痴態を晒してしまったのは、不幸な事故として受け入れるしかなかった。

 私は今まで通り、彼とつかず離れずの関係を続け、夢のお1人様生活を達成するために逃げ続けるだけ――。

「や、やってしまいましたわ……!」

 そうやって何度も自分に言い聞かせたところで、平常心でいられるかについてはまた別の問題だ。

 私は穴があったら入りたい気持ちでいっぱいになりながら、布団に包まる。

 ――いくら死にたくないからって、キスの先を望むなど……!
 絶対にありえない蛮行だ。
 いくら緊急事態とは言え、弱みを見せてどうするの!?

 最終的にはファーストキスを奪われてしまったし、必死に全身の火照りを我慢していた分だけ損をした形だ。

 ――もう彼と顔を合わせて平常通りに会話を続けるなんて、恥ずかしすぎる。
 絶対に無理……。

 室内には、あの人の姿はない。
 逃げ出すのには、絶好のチャンスだ。
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