バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「ずっとここで、盗み聞きしていましたの?」
「ああ」
「残念でしたわね。大した収穫がなくて」
「いや、今後の君との関係性を考え直すためにも、とても勉強になる話だった」

 彼は小さく頷いたあと、こちらに視線を移した。
 水色の瞳は、心配そうに揺れている。

「体調は、平気か」
「ええ、まぁ。平常通りですわ」
「なら、よかった。半月近く、昏睡状態だったからな。このまま目覚めなければ、どうしようかと……」
「そんなに、時間が経っていますの?」
「ああ」

 通りでラルラが、大泣きしながら抱きついてくるわけだ。
 私はようやく納得し、唇を噛みしめる。

「世間で私の扱いは、どうなっていまして?」
「真の救済の歌姫はルリミカだったと、貴族の間で大騒ぎになっている。もう、この国で歌うのはやめたほうがいいだろうな。小劇場には、入り切らないほどに領民が押しかけてくるぞ」
「私にとって、歌は唯一のストレス発散方法ですの。それを奪われるなど、溜まったものではありませんわ」

 普通に歌う分には問題ないと異を唱えれば、彼は不敵な笑みを浮かべて頷く。
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