バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
6・既成事実ができたあと
「ルリミカ!」

 執務室に居た父親は私達が姿を見せた瞬間、血相を変えて娘の名を呼んだ。

「お父様。ごきげんよう。そんなに大声を上げて名前を呼ばなくたって、聞こえますわよ?」
「救済の歌姫として覚醒したと言うのは、本当なのか?」
「そうらしい、ですわね」
「なんと……!」

 公爵は驚きを隠せぬ様子で感嘆の声を上げると、喜びを隠しきれぬまま声を発する。

「殿下と婚約破棄が成立して、本当によかった……!」
「私が救済の歌姫だった場合、殿下と結ばれてはいけなかったんですの?」
「隣国で最初にその名で呼ばれるようになった娘は、陛下の妹君だったのだ」

 その話は、10年前に修道院で司祭の口から朦朧とする意識の中で聞かされた話と合致する。

 ホトロス王国の国王は、妹を猫可愛がりしていた。
 そんな彼女が救済の歌姫と祭り上げられ、自らの手が届かぬところで非業の死を遂げたのだ。
 彼が憤慨するのは無理もなかった。
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