バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「ルリミカの命を奪ってもいいのは、俺だけのはずなのに……。目の前で蛮行を働くなど、あり得ない。必ず見つけ出し、地獄へと引き摺り落としてやる……」

 普段の私であればその声を聞いてすぐにおっかないと警戒していたが、今日はそういう気になれなかった。
 それは恐らく……。
 ようやく、本当の意味で心を曝け出そうと決心できたからだ。

「この国に長期間滞在するのは、危険だ。予定を早めよう」
「そう、ですわね……」

 まさか彼は、私が同意を示すなど思いもしなかったのだろう。
 驚愕の表情で、こちらを見つめた。

「いいのか」
「ええ。先程の加害行為で、理解しましたの。父様の忠告は脅しなどではなく、いずれ起こり得る最悪の未来だと……」

 彼の胸元から身を乗り出し、唇を奪った。
 こちらの真意を探るようにじっと見つめていた水色の瞳が、みるみるうちに大きく見開かれていく。

 ――私はキスの最中、今まで感じたことのない感覚に包まれた。

 触れた場所からじんわりと全身に熱が伝わり、心がぽかぽかと暖かな気持ちでいっぱいになったのだ。
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