バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
 ――私は部外者だ。
 ヴァルツハイユ帝国において第3皇子の立場があまりいいものではなかったのだろうと想像することはできても、その苦しみや悲しみを体験することはできない。

 それでも――。

 その痛みに、寄り添うことくらいはできる。
 私はより大きな声で、歌を響かせた。

 推しを苦しめた罰を、彼らへ与えるために――。

「俺の名は、ダグラス・ヴァルツハイユ。この帝国の皇帝となった男だ」

 ダグラスは人々がひれ伏す姿を前にして、声高らかに宣言する。

「前皇帝は2人の息子と結託し、俺を陥れようと画策した」

 彼は家族の罪を暴くと、水色の瞳に仄暗い光を宿らせる。
 その姿は、狂気のスイッチが入った時に見せる姿とそっくりで――。
 私はダグラスの心が少しでも安らかになりますようにと願いながら、歌を響かせ続けた。

「この帝国を統べる王として、この蛮行を見過ごすわけにはいかん。一生をかけて、償ってもらうぞ」
「や、やめてくれ……!」
「く……っ。一生牢獄で暮らすなど、冗談ではない……! この場で、息の根を止めろ……!」

 2人の兄達は弟から剣の切っ先を向けられた直後、無様な姿を晒すくらいならばこの場で命を奪えと懇願してきた。
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