バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
 なんでジェラルド様は、すごく悲しんでいるんだろう……?

 姉様を始末するのは、いけないことだったの?
 うんん。そんなはずがない。
 わたしがやったのは、いいことに決まっているんだから!

 そう何度も自分に言い聞かせたあと、己を奮い立たせる。
 みんなの誤解を、解くために。

「救済の歌姫は、姉様じゃない! わたしだよ!」

 得意のダンスを元気いっぱいに踊り、苦手な歌をたくさんの人に届けた。
 貴族の人達は相変わらず白い目で見て来るけど、事情を知らない平民達はわたしに声援を送ってくれる。

 ――もっと、わたしを見て。
 わたしだけを愛して。
 姉様よりも、好きだって言って!

 姉様ばかりずるいと羨む感情はやがて、年月を重ねるごとに悪意へと代わり、自分の思い通りにならない人間に恨みを抱くようになった。

 修道士による悪魔の囁きが己の奥底に眠っていた醜い感情を呼び覚ましたのだと気づきもせず、わたしは必死に自分の存在を他者へ刻み込むために間違った努力を続けた。

「あんたはオレの婚約者に、ふさわしくない」

 ――本来王太子妃とは、夫をそばで支えるものだ。
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