バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「殿下はかつて、言ってくださいましたわ。オレの妃になれと。私はこれまで彼の隣へ並び立つに相応しい淑女となるべく鍛錬を重ねて参りました。しかし……。最近、殿下の御心が私から離れ始めていますの」
「まさか……! ルリミカは、殿下に見初められたのだぞ!?」
「リナリアは私とは真逆の、可憐な淑女です。殿下が惚れるのも、無理はありませんわ」

 父親はにわかには信じがたい話だと、最初は素直に受け入れてくれなかった。

 しかし――。

 私の言い分を決定づけるように、悪気なく妹が満面の笑みを浮かべて自慢げに口を挟む姿を見たら、信じるしかなくなってしまったらしい。

「でしょ? だってわたし、とってもかわいくて歌がうまくて、欠点なんて一つも見当たらないほどの淑女だもの!」
「ま、待て……。リナリアに、殿下を譲るなんて言わないだろうな……?」
「お2人が心を通じ合わせているのならば、邪魔者は黙って身を引くべきだと思いませんの?」

 本来であれば被害者として、妹の暴走を止めるべきなのに――。
 父親の指摘を決定づけるような発言をしたのも、大きかったのだろう。
 先程の厳格そうで恐ろしい反応は、一体どこへやら。
 頼りなくオロオロとうろたえる姿が目についた。
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