バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
 ――こうしてやってきた式典当日。
 パレードが終わり、あとは馬車から降りるだけと言うタイミングで、あの男はルリミカの名を呼ぼうとした。

「ル……!」

 だが、その言葉は最後まで言葉にならない。

「陛下。私があなただけのものだと、今この場で証明いたしますわ」

 俺の耳元で自信満々に微笑んだ彼女は、妖艶な表情のまま口づけを交わし合う。
 まさかルリミカのほうから舌を絡めてくるなど思わず戸惑っている間にも、ジェラルドが入り込む余地はないのだと言わんばかりに唇に吸いつく。
 そんな姿がかわいらしくて仕方がないと考えると同時に、ゾクゾクとした。

 ――たとえあの男が妻に向ける愛を粉砕するためだけに行われたキスだとしても、構わない。
 大事なのは彼女の意思で、俺と接吻がしたいと思わせたことだけだ。

「な、なんのつもりだ! オレは王太子だぞ!?」

 ロバートの活躍によって、あの男は抵抗も虚しく囚われたようだ。

 ――無様だな……。

 鼻で笑い飛ばしたくなる気持ちをぐっと堪えながら唇を離せば、往生際の悪い男の叫び声が聞こえてきた。
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