バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「ルリミカ! 愛しているんだ! どうか、もう一度! オレにやり直すチャンスをくれ!」

 彼はまだ、彼女に好かれる自信があるらしい。

 ――ここでもしも、ルリミカがあいつを選んだら。
 俺はまた、彼女を腰元の剣で刺殺しなければならない。
 そう思うだけで、不安でいっぱいになる。
 手が小刻みに震えるのを止められず、全身に力が籠もった。

「ダグラス。私はちゃんと、ここにいますわよ?」

 緊張の色を隠せない俺を見かねたのか。
 ルリミカは小さな手で包み込むように俺の拳を握りしめると、ジェラルドを見下してはっきりと告げた。

「お断りいたしますわ」

 それにショックを受けた彼がロバートに連行されていく姿など、今の彼女にはどうでもいいのだろう。

「さぁ! ダグラス様! あんな男のことなんて忘れて、全力で楽しみますわよ!」

 妻は俺を勇気づけると、予定通り式典を進めた。
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