バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「ルリミカ……。そんなに思い詰めるな。殿下が、君を裏切るような真似をするはずが……」
「父親ったら、姉様の味方ばっかり! もういいわ! わたし、母様に伝えてくる!」
「ま、待て!」

 彼は痺れを切らしてソファーから立ち上がった妹を止めたが、そんな静止の言葉など諸共せずに、彼女はあっという間に執務室を飛び出してしまった。

 ――これでようやく、2人きりで落ち着いて話し合いができそう……。

 父はこほんと咳払いをしたあと、こちらを真剣な表情で見下しつつ問いかけてきた。

「妹に殿下を譲るという話は、本気なのか」
「ええ。彼があの子を愛するようになった直後、円満な婚約破棄を希望しておりますわ」
「はぁ……。今この場で解消したいと頑なに主張されるよりはマシだが……。なぜ、こんなことに……」

 父親は理解に苦しみすぎてどうにかなってしまいそうだと言わんばかりに頭をかかえて、ソファーに腰を下ろす。

 悪役令嬢の父と言えば、隠れてコソコソ不正に手を染めているとか、横暴の限りを尽くすようなイメージがあった。
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