バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
 ダグラスが、最後の一線を超えなくて。
 人殺しになってしまったら、彼を心の底から愛おしいと感じたことを後悔しそうになるところだった。

 そんなふうにおどけたかったのに、唇からは荒々しい吐息しか出てこない。

「ルリミカ!」

 彼が切羽詰まった様子でこちらの名を呼ぶあたり、どうやら限界が来てしまったようだ。
 私はカクンと膝から崩れ落ち、床に倒れ伏す寸前で彼にしっかりと抱きかかえられる。

 ――さすがに二度も歌うのは、無理があったかな……?

 全身からは汗が吹き出し、身体が火照る。
 ダグラスが触れてくれていると思うだけで、嬉しくて仕方がなかった。

「あとは任せる」
「はい!」

 夫は部下へ簡潔に指示を飛ばすと、彼は2人きりになれる場所へ急いだ。
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