バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「きゃ……っ」
「く……っ。ルリミカ嬢!」
「なんだか今日は、調子が悪くて……」

 私はわざとペアを組んだ先生の脚を踏んづけたり、バランスを崩したりして怒声を浴びせられる。

「淑女たるもの、どんなに不調でも軽やかに舞うようにと伝えたはずですよ!」
「も、申し訳ありま……っ!」
「いつもはできるのに、なぜ今日だけできないの!」
「きゃあ!?」
「リナリア嬢に手本を見せる、絶好の機会でしょう! 今まで努力してきた日々を、無に帰すつもりですか!?」

 講師は般若と化し、ビシバシと手にした扇で背中を引っ叩く。
 ここが日本ならば、体罰問題に発展しそうな勢いだ。

 ――ミスをすると鬼の敵のように揚げ足を取ると有名な先生だと知っていたからこそ、これまでは回帰する前の記憶を頼りに文句を言われないように立ち回ってきたのに……。

 今までの努力が水の泡だと、落胆する必要はない。
 なぜならば、私がこの講師に妃教育を受けるのは今日で最後になるからだ。

「く……っ。申し訳……っ」
「あなたは本当に、指導のしがいがありませんね!」

 ――数分激痛に耐えればいいだけなら、楽勝だった。
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