バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「一度目は、誰だって完璧な淑女とは程遠い姿を晒すものですわ」
「初めてなのに、何年も前から特別な教育を受けている姉様よりも素晴らしい動きを披露すれば、ジェラルド様もすぐにわたしを好きになってくれるはずだよ!」

 天真爛漫な妹は、無邪気におねだりを繰り返す。

「ねぇ、いいでしょう?」

 きっと、悪気なんてないのだろう。
 だから、こんなふうに満面の笑みを浮かべて図々しい願いを言える。
 彼女の望みどおりに行動したら、私がどれほど惨めな目に遭うかなど知りもせず……。

「ええ。構いませんわ」
「ほんと? やったー! 姉様、ありがとう! 大好き!」

 リナリアの言いなりになるのは癪に障るが、これは円満に修道院ルートへ突入するためのフラグ立てだ。
 そう自分に言い聞かせて快諾すれば、妹は心底嬉しくて堪らないと言わんばかりに上辺だけの愛を囁く。

 その言葉を素直に受け取って「私もあなたが大好きですわ」と言い返せないのは、卑しい人間だからなのだろうか?

「これより、妃教育を始めます」

 何度も自問自答を繰り返しているうちに、講師が姿を見せた。
 今日はリナリアが得意と豪語する、ダンスレッスンの日だ。
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