バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「傷の手当を、させてもらえないか」
「必要ありませんわ」
「このまま放置すると、跡が残るぞ」
「私が傷物になったところで、悲しむ殿方などこの世にはいなくてよ」
「ここにいる」

 隣に並び立つ彼が、こちらをまっすぐと見つめている。
 その瞳には強い意志が秘められており、先程の発言を疑う余地などなかった。

「あなたが私に思いを寄せる気持ちは、充分すぎるほどに理解しましたわ」
「ありがとう。君なら、俺の気持ちを受け止めてくれると思っていた」
「私はまだ、婚約者のいる身ですの。周りから誤解されるような行動は、謹んでくださる?」
「先程の殿下による蛮行は、ベリアージュ公爵家から王家へ抗議するべき議題だ。俺からも、公爵へ話をさせてほしい」
「あなた、公爵家まで着いてくる気ですの?」

 ダグラスはこちらの言葉を自分の都合がいいように解釈すると、しっかりと頷いた。

「ああ」

 さすがにそれは無理だと難色を示せば、彼はこちらに凄む。
< 44 / 181 >

この作品をシェア

pagetop