バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「ベリアージュ公爵家の馬車は1台しかない。君がそれを使って帰路につけば、妹君はどうなる」
「きっと、殿下が代わりの馬車を用意してくださいますわ」
「あんな男に、借りを作る必要はない」
「なら、私にどうしろとおっしゃいますの?」
「ホトロス公爵家の馬車に、同乗すればいい」

 ダグラスの提案は、到底受け入れがたいものだった。
 まだ二度しか言葉を交わしたことのない青年が乗ってきた馬車へ、乗り込むなんて……。
 それこそ、誰かに見つかれば大騒ぎになりかねない蛮行だ。

「お断りいたしますわ」
「君は本当に、強情だな」
「こうして並んで歩いているだけでも、不愉快ですのに……」

 隣にいることを許可しているだけマシだと、彼はなぜ思えないのだろうか?
 私はそれを不思議に思いながら不快感を露わにする。
 すると、彼から疑問が飛び出した。

「あの男のように、もっと強引なほうが好みなのか?」
「その問いかけを口にした時点で、あなたを好きになる要素は限りなくゼロに近づきましてよ」
「それは、残念だ」

 心底悲しくて仕方がないと言わんばかりに、水色の瞳が細められる。
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