バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
 先程まで引いていた右肩に、再び痛みが走る。
 思わず表情を歪めて蹲れば、侍女の手を離した彼は当然のように私の細い身体を抱き上げた。

「お、お嬢様!?」
「な、何を、するんですの……!?」
「救急箱を持って、乗ってくれ」
「お怪我をなされたのですか!?」
「ああ。馬車の中で、治療をしてやらなければ……」
「わかりました!」

 ラルラは主の緊急事態に焦り、ダグラスの指示に従ってしまった。
 彼女はテキパキと準備を済ませると、堂々とホトロス公爵家の馬車に自らの意思で乗り込んでしまう。
 こうなってしまえば、こちらに拒否権などない。

 ――痛む傷口を抑えながら抗うことすら、疲れてしまった……。

 こうして私は彼の膝上に乗せられたまま、馬車に揺られて公爵家を目指す羽目になった。
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