バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「お嬢様? お隣にいらっしゃるのは、ゼヴァイツ公爵令息……?」
「ラルラ! 帰りますわよ!」
「リナリア様は、どちらに……」
「彼女は殿下に好かれようと、必死になっている。ここには来ない」

 戸惑いながらも彼女が扉を開けた瞬間を見計らい、急いで馬車の中へ駆け込もうと試みる。
 しかし――。

「その男を、馬車の中に入れないで!」
「君はルリミカと一緒に、俺の馬車へ乗ってほしい」
「はい……?」
「ありがとう。失礼する」
「え!? あ、あの……!?」

 こちらが座席へ腰を下ろすよりも先に、ダグラスがラルラの手首を掴むほうが早かった。

 ――やられた……!

 彼女を置いて、馬車を出発させるわけにはいかない。
 私は歯ぎしりをしながら、異論を唱えた。

「ひ、卑怯ですわ! ラルラを人質に取るなんて……!」
「君が俺の言う事を、聞かないのが悪い」
「こんなことをされたって、ますます嫌いになるだけでしてよ!?」
「それでも構わない」
「なんですって?」
「視界に入らないよりは、よほどマシだ」

 彼の狂気を垣間見た直後、ゾクリと背筋が凍るような感覚を得たせいか。
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