【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 ベッドの上で目を閉じているエメリアを前に、イヴァンは息を吐いた。
 まさかそんな大変な事態になっていたとは。

(でもきっと、皇妃様に任せておけば大丈夫)

 問題は……。

 ちらりと、イヴァンは寝ているエメリアを前にしている三人に視線を向けた。
 部屋の中には妙な緊張感が漂っている。……誰が、エメリアを目覚めさせるかで。
 
「俺はエメリアの夫だぞ」
「毒をつくったのはわたくしです。お任せください」
「フレンも!」

 親愛と感謝の気持ちとしてはイヴァンも参戦したいところだが、ぐっと堪えた。

「――わかりました。ではこうしましょう!」

 イヴァンはまったく引かない三人に提案した。

 そして折衷案として、右頬にフレンが、額にギルフォードがキスをすることになった。

「わたくしも……」
「メレディスさんは我慢してください。不測の事態が起きたときに頼れるのはあなただけです」

 そして、エメリアは二人からの額と頬へのキスを受けた。




 目が覚めて、左手をギルフォードが、右手をフレンが握ってくれているのを知る。

 毒リンゴの影響か、久しぶりのせいか身体が重い。けれど。

「おかあさま……?」

 目があってフレンが眉を下げる。
 身を起こしたエメリアは、彼女に両手を広げた。

「フレン、おいで」
「……っ」

 ぎゅっと抱きついてきたやわらかい身体を、エメリアは力強く抱きしめた。

「……ごめんなさい、駄目な母親で」

 フレンがぶんぶん首を振った。

「フレンのおかあさまは、せかいいちです!」
「まぁ、嬉しい……わ……」

 そしてそのまま、エメリアはふらりと倒れた。
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