【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 前世を思い出したと同時に死期を悟れば、遠い目にもなるというものだ。

 原作小説のストーリーは、王女として生まれながらも母や継母から虐げら(ドアマットさ)れたヒロインが、隣国王太子と結ばれて幸せになる話である。

 ヒロインを虐げる相手その一、母親。――つまり、エメリア(じぶん)

 恋をする皇帝に嫁いだものの、渡りがあったのは初夜の一度だけ。あとは放っておかれる。

 妊娠したのがわかってもギルフォードは「俺の子か」とかひどいことを言う。

 健気なエメリアがそんな夫を振り向かせたくて死ぬ思いで産んでも見向きもせず、そして全ての苛立ちを娘に向けてしまうのだ。

 そんなことをしてももちろん事態は好転せず、……そのまま精神を衰弱させて死ぬ。

 その後、ギルフォ ードはまた政略的に別の女性と結婚して、継母にヒロインは虐められーーと考えていたところでぐっとベッドに押し倒された。

 上からとても直視できない美貌が見下ろす。
 大きな手がエメリアの身体を滑った。それだけでぞくぞくと気持ちよくて、力が抜けてしまった。

「仕事が残っている、早く終わらせるぞ」
「待っ……」





 翌朝。
 エメリアは下腹部の違和感と腰の痛みと共に目が覚めた。

(よくも、あのクソ皇帝、か弱い公爵令嬢に手加減もせず……っ)

 すでに部屋に皇帝の姿はない。
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