【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 もういっそ清々しいほどに、寝所に彼がいた形跡は残っていなかった。だがまぁ、これでもう夫の顔を見る必要もない。

「――よし! っいたたた……」

 握り拳をつくったところで腰に痛みが走ってうめく。

(まず考えるべきは、体力作りね)

 美しく見せるため、エメリアは小さい頃から食事や運動を制限されていた。これはよくない、身体を鍛えよう。

 ……すでにヒロインはみごもっているはずだから、無理のない程度に。

 そして、ヒロインのために王宮から逃げる手立てを考える。

(だって可哀想じゃない)

 どうせここにいてもギルフォードは母子を愛さない。
 自分はそれでいいとして、もし万が一エメリアに何かあれば、継母に虐められるのだ。
 それをわかっていて、そのままにしておけない。

(私はどちらにせよ、この城からは退場しなければならない。ヒロインは……隣国になんとか行ってヒーローとどうにか会わせる!)

 彼は公務にもエメリアを出さなかった。必要なのは虫除けの妻と公爵家の名だけ。

 あとは自分で全部国を治めるためだ。――つまりは、自由。

「よし!」

 エメリアはさっそく行動を開始した。
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